コラム

COLUMN

2025.02.28 看護師

「インスリン」の働きについて知ろう

糖尿病とは、血糖値(=血液中のブドウ糖の濃度)が高くなることで、様々な合併症を引き起こす病気です。
糖尿病だとなぜ血糖値が上がるのでしょうか?血糖値は通常、体内のいくつかのホルモン(=身体の様々な機能を調節する物質)によって高すぎず低すぎず、ちょうど良い数値にコントロールされています。中でも、膵臓(すいぞう)の細胞から分泌される「インスリン」というホルモンは、唯一血糖値を下げる働きをもっているため、血糖値のコントロールにとても重要です。インスリンがうまく働かないと血糖値を下げられない状態になり、糖尿病になります。

インスリンの働きとは?

食べ物を食べると、消化器で分解・吸収され、血液中にブドウ糖という形で糖分が増えます(血糖値が上がる)。ブドウ糖は人が生きていくためのエネルギー源であり、欠かせないものです。

血液中にブドウ糖が増えると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは肝臓・筋肉・脂肪組織に作用して、ブドウ糖を貯蔵して必要な時に使えるようにしたり、全身の細胞でブドウ糖を取り込んでエネルギーに利用できるようにします。

この結果として血液中のブドウ糖が減ります(血糖値が下がる)。

インスリンがうまく働かないのはどんな場合?

インスリンがうまく働かず血糖値が上がってしまう原因には次の2種類のどちらか、または両方が関係していると考えられます。

① 膵臓からのインスリンの分泌が少ない・または無い

加齢や遺伝的要素で膵臓の機能が低下している場合や、膵臓の細胞が自己免疫によって壊された場合などで、インスリンの量が不足している状態です(特に後者は1型糖尿病と呼ばれる状態です)。血液中からブドウ糖を細胞に十分に取り込めなくなるため血糖値は上がり、身体はブドウ糖をエネルギー源として利用できなくなります。

② 身体にインスリンが効きにくい状態になっている

肥満があると、インスリンが分泌されているにも関わらず身体にインスリンが効きにくい状態になることが分かっています(これをインスリン抵抗性といいます)。これは主として、増大した脂肪組織からインスリンの働きを邪魔する物質が作られるようになるためと考えられています。治療には肥満の原因となるカロリーの過剰摂取・栄養バランスの偏りなどの食習慣や、運動不足を改善することが大切になります。

今回はインスリンの働きについて解説しました。糖尿病の治療は、検査を受け、適切な食事療法・運動療法と薬物療法を続けることが大切です。分からないことがあればお気軽にお尋ねください。